研究課題
基盤研究(C)
本研究はDPCデータやレセプトデータを活用して薬剤使用の適切性を評価しようとする比較的新しい試みである。研究のトピックスとして、脳梗塞急性期の薬物療法と血液製剤を選んだ。脳梗塞急性期の薬物療法に関する研究では、DPCデータから患者毎の薬剤の使用量・使用日数の情報を抽出し、各薬剤の使用状況を病院間で比較した。病院を入院直後3日間の医療費の分布により3群(高額・中間・低額群)に分類し、3群間で薬剤の使用状況を比較した。脳梗塞急性期診療における高額医療は主に集中治療の利用によるものであり、薬物使用とは関連が見られなかった。また薬物使用は、患者アウトカムとも関連がなかった。また血液製剤では、DPCデータを基にして血液製剤が使用された症例を同定するとともに、研究協力病院にて血液製剤の使用状況の調査と使用適切性の評価を実施した。DPCデータを利用して、血液製剤が投与された症例(赤血球製剤573例・濃厚血小板167例・新鮮凍結血漿121例・アルブミン製剤244例)を同定した。これらの症例の診療録をレビューし、われわれが開発したアルゴリズムを基にして、血液製剤の使用適切性を評価した。調査の結果、明らかな使用の適応があった症例の割合は赤血球製剤で70%、新鮮凍結血漿で15%、濃厚血小板で56%、アルブミン製剤で30%であった。血液製剤が使用される主な臨床状況は、赤血球製剤が急性出血・慢性貧血・周術期の輸血、新鮮凍結血漿が出血症状・心臓手術・出血に対する予防的投与、濃厚血小板が心臓手術・血液疾患・重症患者、アルブミン製剤が出血性ショック・心臓手術・肝硬変などであった。またDPCデータを利用して、診断群分類を利用して血液製剤使用量の実測値と予測値の比(O/E値)を病院毎・診療科毎に計算した。診断群分類で調整した血液製剤の使用量には病院間で大きなバラツキが観察されたが、O/E値と不適切使用の頻度は必ずしも合致しなかった。
すべて 2008 2006 その他
すべて 雑誌論文 (4件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (2件)
Health Policy (In press)
J Eval Clin Pract 14
ページ: 416-21