我々はこれまでのヒト肝細胞による再生医療の研究実績を活かし、肝細胞を全国の研究機関・医療機関に分配する独自の広島肝細胞組織バンクの設立を目指し、平成18年度から19年度にかけて下記を行った。 CRC (Clinical Research Coordinator;臨床研究コーディネーター)の配置による肝細胞(組織)採取および研究利用体制を確立した。具体的には、肝切除術を受ける感染症陰性の転移性肝癌患者を対象にCRCが組織提供に関するインフォームード・コンセント(IC)を治療医とは異なる立場で取得し術後に最終的な同意の確認を行った。連結不可能匿名化を行い、公的バンクヘ肝細胞を提供するにあたり、個人情報の保護を行った。院内病理と連携し、適正な術式選択がなされ、病理診断に影響を与えない正常余剰部が適切に採取されるよう監視する体制を整えた。手術摘出肝組織からの肝細胞収集・培養・保存を実施し、その分離技術の維持向上を継続して行った。広島大学内倫理審査会の承認を得て、研究の正当性を確認した。パブリック・アクセプタンスの獲得を目的として、各種学会や研究会で発表し、これまでの成果を報告した。 本邦初となるヒューマンサイエンス研究資源バンク(HSRRB)へ正常ヒト肝細胞の提供を開始し、平成19年度末までに、ヒト肝細胞7検体(およびヒト肝組織4検体)を提供し、全国の研究施設に、ヒト肝細胞の研究の門戸を開いた。
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