本研究は、服薬アドヒアランスに結びつく要因とその生起プロセスをグラウンデッド・セオリー・アプローチを用いて見出すことを試みた。本研究では、通院して投薬を受けているにも拘わらず、服用しない薬があり、その理由が単なる「飲み忘れ」ではない人を対象とした。面接対象者は20名であった。質的研究法であるグラウンデッド・セオリー・アプローチ(GTA)により、アドヒアランス低下要因として、(1)外部から得られる情報(自分が信頼する友人やメディア等から得た薬に関するネガティブな情報と医療従事者から提供された情報)と(2)症状・経験・行動から得られる情報(病気であるという認識が低い人、自覚症状がない人、検査値が悪化していない人、過去に有害作用を経験した人、試しに服薬を止めたら症状に変化がなかったなどの経験がある人)を見出した。この状況を改善するために、GTAにより生起プロセスを探求した。そのプロセスは、(1)上述の情報を得る、(2)情報から、自分は薬を飲まなければならないような病気ではない、副作用が起こるかもしれない、薬は飲まないほうがよい、薬を頼りたくない、などの考えが発生する、(3)服用を受け入れるかどうかの方針を打ち立てる、(4)服薬を受け入れない場合には「意図的に服用しない」という行動に結びつく、と考えられた。方策としては、うっかり忘れる人と意図的に服用しない人とを区別するために、服薬指導時にイン・デプス・インタビューを行うことが有効と考えられた。また、消費者に後発医薬品の選好を聞いた結果、後発医薬品の選好には自己負担金額、薬剤師の情報提供、薬局の相談体制が有意に影響することが示され、銘柄変更は服薬アドピアランスの低下要因にが該当しないことが示唆された。
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