研究概要 |
「2次元バーコードによるお薬手帳の機能向上と医薬品適正使用支援」に関する研究を行うにあたり、次の3点、(1)コンピュータチェックシステム導入による従来型お薬手帳の機能性向上の検証、(2)2次元コードを利用したチェックシステム搭載試作機の開発、(3)本試作機の臨床導入とその評価、を目標としている。(1)については保険薬局と連携し、レセプトコンピュータ薬剤鑑査システムを用いたお薬手帳の有用性向上に関する調査として、お薬手帳利用者を対象としたデータ収集・解析を実施した。「お薬手帳」に記載された複数処方の薬剤をレセプトコンピュータの薬剤鑑査システムを用いて鑑査することで,来局患者2,776名、手帳使用者1,621名(58.4%)のうち57名(手帳使用者の3.5%)から疑義が見いだされ、疑義の件数は124件(重複投薬:14件、相互作用:110件)であった。これはコンピュータによる薬剤鑑査システムを用いなかった別調査における疑義抽出率1.5%よりも高率であり、お薬手帳の処方鑑査にレセプトコンピュータの薬剤鑑査システムを利用することでより確実な疑義抽出が可能となり、お薬乎帳の機能が高まることが示唆された。一方、本調査においても手帳の使用率は58%と満足すべき状況には至っておらず、その対策も医薬品適正使用支援のためには重要である。現在、宮崎県全域を対象にお薬手帳の使用実態について調査を実施し、その有用性向上への課題抽出と対策を検討中である。また(2)の試作機開発においては、「重複投与・相互作用チェックシステム」と「2次元コード読み取りデータ」のリンク時の問題点の抽出を実施し、誤作動を起こさないために必要なシステム構成について検討した。今後、臨床導入を目的とした試作機への応用とその有用性の確認を行う予定である。
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