研究概要 |
「2次元バーコードによるお薬手帳の機能向上と医薬品適正使用支援」に関する研究を行うにあたり、(1)コンピュータチェックシステム導入による従来型お薬手帳の機能性向上の検証、(2)2次元コードを利用したチェックシステム搭載試作機の開発、(3)本試作機の臨床導入とその評価、を目標とした。レセプトコンピュータ薬剤鑑査システムを用いたお薬手帳の有用性向上に関する調査として、お薬手帳利用者を対象としたデータ収集・解析を実施し、「お薬手帳」に記載された複数処方の薬剤をレセプトコンピュータの薬剤鑑査システムを用いて鑑査することで、高率で確実な疑義抽出が可能となり、これによりお薬手帳の機能が高まることを報告した(柴田由香里,他:医療薬学,34,972-976,2008)。また宮崎県全域を対象にお薬手帳の活用実態について調査を行い、その有用性向上への課題と対策を検討した。本調査により、手帳が十分効果的にその機能を発揮している例は未だ少なく、手帳の有効利用のためのさらなる対策が必要であることがあらためて浮き彫りとなった(第41 回日本薬剤師会学術大会、宮崎市、2008.10)。処方情報を2次元コードに変換しお薬手帳ラベルにプリントアウトするシステム、その2次元コードをレセプトコンピュータに読み込み、レセプトコンピュータの「重複投与・相互作用チェックシステム」と接続し、疑義検索を行わせるシステムをそれぞれ構築し(2007-2008 年度)、研究室レベルでの2次元コードお薬手帳鑑査システムの完成をみた。同試作機の臨床導入を目的とした研究室レベルでの機能性・有用性の検証においては、優れた機能性が確認され、臨床応用による有用性が期待された。
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