グルクロン酸転移酵素遺伝子(UGT1)は、スプライシングの違いにより1つの遺伝子から複数の基質特異性の異なるアイソフォームを発現する。この遺伝子は人種により変異の種類や頻度が大きく異なる。本酵素はビリルビン、ホルモンなど内在性物質だけでなく、臨床上重要な多数の薬剤をグルクロン酸抱合して、解毒排泄する。本研究の目的は、日本人におけるグルクロン酸転移酵素の遺伝子多型と変異の種類・頻度を明らかにし、変異酵素と薬物副作用・発ガンとの関連を明らかにすることである。 本年度の研究では(1)日本人のUGTIA9遺伝子多型と変異の種類・頻度を明らかにする。(2)グルクロン酸転移酵素遺伝子異常Y486Dは日本人固有の変異でUGTIの共通エキソン上に存在するため、UGTIから発現するすべてのアイソフオームの活性を欠損もしくは著しく低下させる。Acetaminophenについて、UGTIA9でY486Dが酵素活性にどのような影響をあたえるか検討するという2つの課題について明らかにする計画であった。 (1)については100名の健常者でUGTIA9遺伝子の解析を行った。その結果D256N変異のヘテロ接合体が見いだされた。(2)に関してはAcetaminophenの代わりにpropofolを用いて活性の測定を行った。詳細については、現在、論文を投稿中である。
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