研究概要 |
研究目的 UDP-グルクロン酸転移酵素(UGTIA9)の日本人での多型の存在の有無を検討し,薬物代謝における多型の役割を検討した。 研究の成果 (1)100名の健常ボランティアでUGT1A9の遺伝子を調べたところ,遺伝子頻度0.005のD256N変異が見いだされた。この変異は日本人のガン患者で報告されているものと同じであった。 (2)麻酔薬プロポホールはUGT1A9によってのみ代謝され,副作用が知られている。変異酵素ではプロポフォールのKmとVmaxが正常酵素の40%および8%に低下していた。この結果から変異のホモ接合体では,プロポフォール投与により副作用を示す可能性が示唆された。 (3)免疫抑制剤マイコフェノリック酸は主にUGT1A9によって代謝される。マイコフェノリック酸にたいするVmaxはD256Nによって正常の10%に低下した。 (4)UGT1遺伝子の共通エキソンに,日本人で遺伝子頻度0.006で存在する変異Y483D変異がUGT1A9に与える影響をプロポフォールとマイコフェノリック酸を基質として検討した。Y483Dは両基質の抱合活性を正常の約3分の1に低下させ、D256NはY483DよりもUGT1A9のこれらの活性をより強く低下させることが分かった
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