研究課題/領域番号 |
18590510
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
長谷川 寛雄 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 助教 (00398166)
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研究分担者 |
山田 恭暉 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (60145232)
上平 憲 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (80108290)
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キーワード | 成人T細胞白血病・リンパ腫 / アポトーシス / 分子標的薬 / TRAIL / 天然由来物質 |
研究概要 |
難治性白血病である成人T細胞白血病(ATL)に対する新しい分子標的治療法の開発の成果はATLのみならず、他の白血病細胞に対しても応用できる可能性が高い。TNF related apoptosis inducing ligand(TRAIL)はTRAILデスレセプターを発現する腫瘍細胞に対し特異的にアポトーシスを誘導する分子標的薬として期待されており、海外においては第1/2相臨床試験が進行している。そこで、TRAIL抵抗性を有するATL細胞株KOBを用いて様々な天然由来物質の中からTRAIL感受性増強物質の探索をおこなった。この系を用いて得られたある種のフラボノイドが末梢血単核球には影響を与えずに多種類の白血病細胞のTRAIL感受性を高めることを発見し、その作用機序を明らかにして報告した(blood2006;107:679-688)。さらに、我々はMyxomycete Fuligo candidaより単離された物質(FCB)がTRAIL感受性増強作用をもっことを発見した。その作用機序は15d-PGJ_2の産生増強によっていた。同様の感受性増強は由来の異なる他の白血病細胞株においても認められた。15d-PGJ_2は内因性のPPARγアゴニストであり、我々は15d-PGJ_2がPPARγに作用し感受性増強をもたらすと推測した。しかし、PPARγアンタゴニストによっても、またsiRNAによりPPARγ発現抑制を行ってもFCBや15d-PGJ_2によるTRAIL感受性増強作用は阻害されなかった。さらに他の白血病細胞について検討したところFCBや15d-PGJ_2による感受性増強作用はPPARγ発現と相関していなかった。よってFCBや15d-PGJ_2は、PPARγ非依存性にTRAIL感受性を増強する新しい物質であることが明らかとなった(blood2007;110:1664-1674)。
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