研究課題
基盤研究(C)
1.甲状腺の穿刺検体中でTFF3 mRNAのコピー数を計測するための検体の前処理法の検討穿刺検体中に混在する血球細胞、線維芽細胞の干渉を避けるため、穿刺で採取された細胞を細胞凍結液に懸濁し凍結保存、後に融解して抗Ber-EP4抗体にて甲状腺上皮細胞のみ選択し、RNAを抽出する凍結細胞法を検討した。まず、腫瘍組織から甲状腺腫瘍細胞を分離し、このサンプルに血球細胞や線維芽細胞を加えて、凍結選択法にて甲状腺腫瘍細胞のみを分離、RNAを抽出してTFF3 mRNAの測定に対する影響を検討した。凍結選択法を使用した場合、混在する血球細胞や線維芽細胞の影響をほとんど受けないことがわかった。次に、患者の組織標本より穿刺検体を作成し、凍結選択法にて甲状腺腫瘍細胞を選択しRNAを抽出して組織から抽出したRNAとTFF3 mRNAの発現量を比較した。大部分の症例で穿刺検体の結果と組織の結果が一致したが,約10%の例で両者の極端な乖離が認められた。この乖離の原因は不明であるが診断をする上での大きな障害と考えられたため、甲状腺腫瘍細胞のみを選択する新たな方法を検討が必要であると判断した。2.微量mRNAを定量するための方法の検討3種の方法を検討した。TaqMan PCR法はコストは安いが、測定内、測定間誤差とも大きく、臨床検査の場での使用に疑問が残った。QuantiGene法はgalectin-3 mRNA定量に関しては感度、精密度共に満足異いく結果であったものの、TFF3遺伝子に関しては遺伝子長が短いため定量するための適当なプローブのデザインができなかった。Invader Assay法は測定できるコピー数の下限が1万コピー程度であり、微量穿刺検体を対象とした検討での使用には不向きであると判断した。よって現時点ではいずれの方法もなんらかの欠点があることがわかった。
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