研究課題/領域番号 |
18590539
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研究機関 | 昭和大学 |
研究代表者 |
五味 邦英 昭和大学, 医学部, 教授 (60053980)
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研究分担者 |
福地 邦彦 昭和大学, 医学部, 教授 (70181287)
陳 戈林 昭和大学, 医学部, 助教 (60266111)
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キーワード | メタロβラクタマーゼ / BLNAR / ESBL / パルスフィールド電気泳動 / ゲノム型 / MRSA / NICU |
研究概要 |
院内感染の原因となる細菌の分子疫学解析を行った。1.H18年度に解析を行なった腸内細菌のメタロβラクタマーゼ陽性株の解析については、データを整理して論文発表した。2.ペニシリナーゼ非産生アンピシリン耐性ヘモフィルス・インフルエンザの耐性機構の解析については、耐性化に関わる遺伝子変異の同定を終え、論文発表中である。3.ESBL産生菌が増加しておりゲノム型解析や耐性遺伝子解析の目的で保存・継代培養が行われている。今回CTX-M type遺伝子を保有するESBL産生E.coli菌株で保存・継代培養中に、ESBL表現型を失った株を経験したため、その詳細を解析した。2006年8月〜12月に昭和大学病院で分離された、耐性遺伝子CTX-M、TEMを保有するESBL産生E.coli 11株をカジトン培地に接種後、1-6ケ月室温で保存し、継代培養を行なったところ、1株がESBL表現型を失った。同一のゲノム型を示し、同一起源と考えられる他の株はESBL表現型を保った。ESBL表現型を失った1株を含め、保存後、11株すべてがCTX-MとTEM遺伝子を保有していた。この形質の欠落現象の説明として1)菌株の保存中での遺伝子の変異、2)耐性遺伝子発現を制御する因子の存在、が挙げられる。院内感染原因菌のPEGEや耐性遺伝子解析を行う上では、通常、菌株の保存・継代培養を行なう。この過程で形質が変化する株の存在を考慮する必要がある。 4.NICUにおけるMRSA感染が高頻度であるため、そのMRSAの拡大経路を解析する目的で、パルスフィールド電気泳動によるゲノム型解析を行った。同一起源と判定されるMRSAが複数株分離された。NICUでは、日常的にスタンダードプリコーションは行なっているが、更に、高度な感染予防手技と施設のハードウエアの改善が望まれる結果となった。
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