研究概要 |
近年,薬物代謝酵素のゲノム解析が精力的になされ多くのSNPの存在が明らかとなったが,同時にゲノム情報の差異だけでは説明できない活性の個人差も明かとなり,その原因については代謝酵素の基礎発現量に関わる環境あるいは発現調節機構の遺伝変異の存在が注目され,再び代謝活性表現型評価法が注目されている。我々は,内因性コルチゾールの66位水酸化反応がCYP3A4分子種により行われることに注目し,コルチゾールから66水酸化への部分代謝クリアランスを評価する方法を開発し,正常人,肝硬変患者およびCYP3A4阻害薬による薬物代謝酵素活性の評価法を確立した。その後,この方法を他の内因性ステロイドホルモンの部位特異的な代謝物の測定に外挿しCYP3A4意外のCYP分子種の活性の個人差を評価する方法の開発を計画した。第2年度に当たる平成19年には,尿中のCYP2C19によるプロゲステロンの2位水酸化体とテストステロンの17位水酸化体測定法と,CYPIA2によるエストラジオールの2-,4,および16α位の水酸化体測定法をLC-MSにて検討し測定法はほぼ確立した。最終年度に当たる平成20年度には研究協力者の医療機関にて肝障害患者から検体を採取するための研究プロトコールが倫理委員会申請に提出される。
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