研究課題/領域番号 |
18590552
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研究機関 | 信州大学 |
研究代表者 |
野見山 哲生 信州大学, 医学部, 教授 (70286441)
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研究分担者 |
藤本 圭作 信州大学, 医学部, 教授 (70242691)
漆畑 一寿 信州大学, 医学部附属病院, 助教 (60362125)
塚原 照臣 信州大学, 健康安全センター, 講師 (50377652)
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キーワード | 予防医学 / 疫学 / 睡眠時無呼吸 / スクリーニング |
研究概要 |
(1) 簡易モニタのスクリーニング機器としての有効性 睡眠時無呼吸低呼吸症候群(sleep apnea-hypopnea syndrome:SAHS)の確定診断のための終夜睡眠ポリグラフ(polysomnography:PSG)検査によって得られた無呼吸・低呼吸指数(apnea hypopnea index:AHI)と多点感圧センサーシートである携帯用終夜睡眠呼吸グラフの呼吸障害指数(respiratory disturbance index:RDI)との相関は、相関係数0.92と強い正の相関を示し、中等症(PSGのAHIのカットオフ値として15回/時間)以上の睡眠呼吸障害(sleep disordered breathing:SDB)の検出は、感度100%、特異度90.1%であった。本機器はスクリーニング機器として有用と考えられる。眠気の自覚症状による評価方法であるエプワース眠気尺度(Epworth Sleepiness Scale: ESS)をスクリーニングの導入として用いた場合、AHI30以上の重症の睡眠呼吸障害の検出は、感度18.8%、特異度94.6%であった。個人の主観による自覚症状を拠り所としたESSによるスクリーニングは有用とは言えないと考えられる。 (2) SDB、SAHSの有病率ならびに生活習慣病との関連 SDBのAHIの重症度分類別による頻度は、正常群103名(AHI<5)、軽症群34名(5≦AHI<15)、中等症群12名(15≦AHI<30)、重症群16名(AHI≧30)であった。またICSD-2の分類から、閉塞型睡眠時無呼吸低呼吸症候群(obstructive sleep apnea-hypopnea syndrome:OSAHS)は39名(23.6%)、中枢性睡眠時無呼吸低呼吸症候群(central sleep apnea-hypopnea syndrome:CSAHS)は5名(3.0%)であった。これら結果より、欧米諸国の報告と比し、日本人のSDB、SAHSの有病率は高かった。生活習慣病との関連においては、15≦AHIの群になると、高血圧症、脂質異常症、メタボリック症候群の有病率は、各々75.0%。75.0%、67.9%と高い結果となった。AHI<5群と比較した高血圧症、脂質異常症、メタボリック症候群の年齢調整オッズ比は、15≦AHI群と比し、各々4.52(1.62-12.56)、3.75(1.33-10.60)、8.94(3.18-25.13)と、有意な関連が見られ、傾向性の検定においてもいずれも有意であった。生活習慣病を複数有する者に関しては、SAHSを合併していないか確認することが重要である。
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