研究課題/領域番号 |
18590560
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
平田 美由紀 九州大学, 大学院・医学研究院, 助教 (30156674)
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研究分担者 |
田中 昭代 九州大学, 大学院・医学研究院, 講師 (10136484)
大前 和幸 慶応大学, 医学部, 教授 (60118924)
清原 裕 九州大学, 大学院・医学研究院, 教授 (80161602)
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キーワード | インジウム / 間質性肺炎 / 尿 / バイオロジカルモニタリング / 有害化学物質 / 健康影響 |
研究概要 |
液晶やプラズマ等の薄型ディスプレイの透明電極材料にITO(インジウム・スズ酸化物)が用いられ、ITO需要が拡大する中、ITO焼結体の研磨作業者が重篤な間質性肺炎に罹患し、死亡する事例がわが国で発生した。ITOおよび種々のインジウム(In)化合物取り扱い作業者の健康調査結果から、インジウム作業者では血清インジウム濃度および肺間質性変化指標である血清KL-6、SP-D、SP-Aが上昇し、血清InとKL-6、SP-D、SP-Aとの間に量影響、量反応関係を認めた。本研究ではIn作業者の尿中インジウム濃度を測定することにより、尿Inが血清Inと同様にインジウム吸入曝露の生物学的モニタリングに有効であるか検討を行った。 成果1.インジウム作業者の尿Inは最高で20ng/mlで、同一人において血清Inよりも低濃度であった。職場採尿の尿Inと自宅採尿の尿Inを比較すると、職場採尿値が自宅採尿値よりも高かったことから、職場採尿時のインジウム微量汚染の可能性が考えられた。 成果2.血清In濃度が高い人は尿In濃度が高く、血清値と尿値の相関が高かった。インジウムリサイクル工場では職場改善前では血清In-尿Inの相関性は高かったが、職場改善後は血清In濃度は高いが、尿In濃度は検出限界(0.5ng/ml)以下の人も多くみられ、血清値と尿値の相関性は低くなった。 成果まとめ:尿In濃度はインジウム曝露の指標として有効であるが、採尿時の注意として微量汚染を避けるために自宅での採尿が推奨される。また、血清Inは採血時より遡る長期間の吸入曝露の程度を反映し、尿Inは血清Inよりも採取時に近い曝露状況を反映することが考えられ、尿Inは血清Inと体内動態が異なることが示唆された。
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