研究課題
基盤研究(C)
以前から鉱物油は比較的安全とされてきた。しかし、鉱物油の1成分であるプリステンがマウスに自己抗体を誘導することが報告されてから、鉱物油は決して安全なものではないことが示唆された。そこで我々は以前から鉱物油の免疫学的影響について検討してきた。その中で便秘薬として使用されている鉱物油が自己抗体を誘導することを指摘した。そこで、これまでの研究を踏まえて今回はディーゼル排ガス中に含まれている鉱物油の免疫学的影響を検討した。ディーゼル排ガス中には、潤滑油や、燃料中に含まれている鉱物油が含まれているとされる。我々は排ガス中に含まれているヘキサデカンについて免疫学的影響を検討するとともに、鉱物油による免疫学的影響のメカニズムについても検討し、以下の結果を得た。1.ヘキサデカンをマウス腹腔内に投与すると自己抗体が誘導された。その自己抗体は全身性エリテマトーデス(SLE)に特有のものであった。またその誘導能はプリステン(すでに自己抗体を誘導が確認されている鉱物油)よりも強いことが示された。2.マウスにディーゼル排ガスを直接暴露し、自己抗体が誘導されるか検討した。マウスに自己抗体は誘導されずT細胞表面マーカにも無暴露群と比較して変化は見られなかった。3.鉱物油投与のマウスT細胞では、SLE患者にみられるようにT細胞のCD3ζ発現と血清アルギニンの低下が見られ、CD3ζ発現が低下した細胞にアルギニンを加えるとCD3ζの回復が見られた。以上のことから、鉱物油は低分子ほど影響が強く、そのメカニズムにT細胞中のCD3ζと血清アルギニンの低下が関与していることが示唆された。
すべて 2006
すべて 雑誌論文 (6件) (うち査読あり 3件)
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