研究課題
基盤研究(C)
兵庫県尼崎市の旧石綿管製造工場の周辺住民で、車谷らが面接調査を実施した石綿関連疾患と思われる178名のうち、本人または遺族のインフォームド・コンセントを得て行った診療情報開示の結果、胸膜組織(中皮腫部分)や肺組織あるいはCT写真が入手できた72名について、免疫組織染色による中皮腫の病理診断、肺組織中の石綿小体と肺内石綿繊維濃度の測定、複数の放射線科医による画像診断の一致度などについて検討を加えた。その結果、他疾患を中皮腫と誤診していた割合は31例中1例(3.0%)であった。画像の再読影で中皮腫以外の疾患を積極的に支持する所見が認められた例はなく、プラークの合併割合は23.7%であった。一方、12名の石綿小体数の検討では、職業性曝露と同等の値を示す者もいたが、それ以下の値でなおかつ石綿曝露の可能性が全く考えられない者の平均本数よりは高い値を示す者がおり、近隣曝露を示唆する結果と考えられた。これらの者の中で旧石綿工場から最も遠方の者の居住地は900-1200%mの地点であった。肺組織中の石綿繊維濃度が測定できたのは5例と少数で、かつこれらの者はいずれも職業性または家庭内の石綿曝露の可能性が完全には否定し得ない者であったことから、本結果の評価はさらに症例の蓄積を待つ必要がある。以上の結果は、中皮腫の誤診は低率であること、近隣曝露が比較的広範囲に及んでいた可能性を示すものである。178人の面接調査等の結果、車谷らが近隣曝露と判断した1995年以降の死亡者を対象に、2006年12月末日現在の死亡診断書上の中皮腫死亡のSMRを、旧石綿管製造工場と住居間距離で検討した結果、300m以内では男性で約14倍、女性では約41倍の中皮腫死亡のリスク上昇が観察された。とりわけ女性の場合1,500mの時点でもなお有意なリスク上昇が認められた。石綿の近隣曝露による周辺住民の中皮腫死亡リスクは大きい。
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