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2007 年度 実績報告書

種々の環境汚染物質の毒性発現における鉄代謝の関与

研究課題

研究課題/領域番号 18590569
研究機関自治医科大学

研究代表者

堀口 兵剛  自治医科大学, 医学部, 准教授 (90254002)

キーワード鉄 / カドミウム / エリスロポエチン / 貧血 / ラット / ヘプシジン / IL-6
研究概要

ラットを普通食と鉄欠乏食で飼育しながら,カドミウム(Cd)(2mg/kg)を週2回,3カ月間皮下投与後に末梢血並びに臓器を採取し,赤血球数,Hb,Ht,血漿鉄,TIBC,フェリチン(Ft),エリスロポエチン(Epo),臓器中鉄濃度を測定した。その結果,Cdの慢性中毒によって著明な溶血性貧血とEpo産生抑制による腎性貧血が起こるが,鉄欠乏性貧血は見られなかった。むしろ,普通食群と鉄欠乏食群のいずれでも末梢血中Ft濃度並びに臓器中鉄濃度の上昇が見られた。そして,腎臓中鉄濃度と血漿Epoとの間にはL字型の逆相関関係が認められた。以上の結果より,溶血によって体内に放出された余剰鉄が腎臓に蓄積し,それによって腎臓からのEpo産生が抑制され,さらに鉄利用が減少して鉄蓄積が充進するという悪循環を形成しているものと考えられた。
さらに,^<59>Fe用いて消化管からの鉄吸収動態を調べたところ,小腸からの鉄吸収はやや抑制されていた。種々の鉄輸送体のmRNAの発現をリアルタイムPCRで観察したところ,肝臓では鉄欠乏により低下していたヘプシジンの発現が回復し,IL-6の発現の充進が見られた。以上の結果より,肝臓におけるIL-6の産生によりヘプシジンの産生が充進し,その結果十二指腸におけるフェロポーチンの産生が抑制されて鉄の吸収が抑制されている、という機序が考えられ,これはCdの慢性中毒における鉄の過剰蓄積に対する代償性反応であると推測された。

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公開日: 2010-02-04   更新日: 2016-04-21  

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