研究概要 |
本研究は、長寿関連ミトコンドリア遺伝子多型(Mt5178C/A多型)と喫煙習慣、飲酒習慣との血圧、血清脂質濃度、血糖値及び耐糖能、血球係数、眼圧、血清蛋白分画濃度、血清電解質濃度、血清尿酸値、呼吸機能などへの交互作用を詳細に検討することを目的とし、最終的には長寿関連ミトコンドリアDNA多型に基づく生活習慣病のテーラーメイドの予防法の確立を目指すものである。本年度の成果としては、(1)Mt5178C/A多型と呼吸機能成績との関係、及びMt5178C/A多型と喫煙習慣との呼吸機能成績への交互作用についての論文の発表(Kokaze A, et. al.J.Hum.Genet.52:680-685,2007)、(2)Mt5178C/A多型とコーヒー飲用との耐糖能異常への交互作用についての学会発表がある(第78回日本衛生学会総会)。(1)の論文では、55歳未満において長寿関連Mt5178C/A多型と%肺活量との関連が認められたこと、および55歳以上においてMt5178C/A多型と喫煙習慣の1秒率への交互作用が示唆されたことを報告した。(2)の学会発表では、コーヒー飲用について1日0杯、1-3杯、4杯以上の3群に分け、年齢、BMI、飲酒習慣、喫煙習慣、血清中性脂肪値で調整したところ、Mt5178C型においてコーヒー飲用が1日4杯以上の人は0杯の人に比較して耐糖能異常リスクの有意な低下を認めたことを報告した。今後はMt5178C/A多型と酸化ストレスマーカーである8-Hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)、Plasminogen Activator Inhibitor(PAI-1)、酸化LDL、Lipid Peroxides(LPO)などとの関係についても明らかにしたいと考えている。
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