研究課題/領域番号 |
18590574
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研究種目 |
基盤研究(C)
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配分区分 | 補助金 |
応募区分 | 一般 |
研究分野 |
衛生学
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研究機関 | 東海大学 |
研究代表者 |
渡辺 哲 東海大学, 医学部・公衆衛生学, 教授 (10129744)
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研究分担者 |
木ノ上 高章 東海大学, 医学部・公衆衛生学, 准教授 (30234313)
稲垣 豊 東海大学, 医学部・公衆衛生学, 准教授 (80193548)
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研究期間 (年度) |
2006 – 2007
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キーワード | 予防医学 / 脂肪肝 / 肝発癌 / 酪酸菌 / sodium butyrate / NF-κB / p21WAF |
研究概要 |
FLSマウスを12か月齢まで飼育し、10か月齢、12か月齢の肝組織を採取し、組織学的検討とともに蛋白発現について検討した。普通の餌投与(CA-1)、乳酸菌投与群、酪酸菌投与のFLSマウス3群と、正常マウスの計4群で比較検討した。菌はそれぞれ粉末の餌に5%になるように混ぜ、経口摂取させた。酪酸菌の腸管内での増殖は、栄養体とのみ反応する抗体を用いたELISA法で確認した。 10か月齢では全例肝に著明な脂肪沈着を認めたが、線維の増生はみられなかった。12か月齢では、CA-1群では8匹中2匹に肝腫瘍を認めた。乳酸菌、酪酸菌投与群ではそれぞれ8匹中1匹に肝腫瘍を認めた。糞便中の短鎖脂肪酸をHPLCで測定したところ、CA-1群に比べ、酪酸菌投与群ではsodium butyrateを含む短鎖脂肪酸の増加している傾向が見られた。 酸化ストレスのマーカーである8-OHdG と 4-HNEの肝臓での発現を酵素抗体法で調べたところ、8-OHdGはどの群もほとんど検出されなかったが、4-HNEは10か月齢のコントロール群で肝に著明に検出された。一方酪酸菌投与群では4-HNEの発現は著明に減弱していた。また、前癌病変のGST陽性細胞も10か月齢コントロール群では検出されたが、酪酸菌投与群では検出されなかった。 Western blot法による解析では、酪酸菌投与群ではNF-κBの発現が増強とc-junのリン酸化(Ser73)がみられた。さらにp21^<WAF1>の発現も酪酸菌投与群で増強していた。 以上より、FLSマウスでの肝発癌には酸化ストレスが関与し、酪酸菌投与はそれを阻止する可能性が示唆された。
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