研究課題
基盤研究(C)
本研究は茨城県周辺の中規模医療機関において、導入されている診療支援システムの機能、医療機関で実施されている治験および臨床研究の実態、受診患者の疾病別分布を調査し、この調査結果を、地域の複数の医療機関のもつデータを統合して治験・臨床研究目的のデータベースを構築するための基礎資料として纏めることを目的としたものである。初年度は本調査に先立ち、調査項目および調査対象を決定するため、研究分担者の所属機関においてヒアリングおよびパイロット調査を実施した。診療支援システムの導入状況については、システム設計時の仕様書を用いると運用開始後の改良点を把握できなくなるおそれがあったため、実際に運用されているシステムの入力画面を入手して分析した。この方法によりシステムに入力されているデータをほぼ漏れなく把握することができたが、未入力割合の高い項目を検出できない点で精度に問題がみられた。治験・臨床研究の実施状況に関しては、治験以外の臨床研究について、詳細な研究計画の調査は質問紙法では困難であり、本調査ではケースごとのインタビューを組み合わせた方法をとる予定となった。受診者の特性および診断名に関する統計情報については、とくに市町村統廃合の影響により、居住地の住所表記だけでは有用な情報が得られにくい状況であった。そのため、住所表記をジオコーディングにより緯度経度情報に変換した上で、病院へのアクセスを算定するシステムを試作した。これらの結果に基づき、19年度には本調査として県内の中規模以上の医療機関を広く対象とした質問紙による調査と、とくにモデルケースとなりうる医療機関に対するインタビューを含めた詳細調査をともに実施することで、県内の診療方法の電子化状況を明らかにするとともに、実用性の高い地域共通の治験・臨床研究データベースを開発するためのロードマップを策定する予定である。