研究概要 |
1.平成16年のべースラインデータを用い、歯周病に開連する指標と、消化性潰瘍の現病歴とめ関連を調べた。解析に必要な情報が全て得られた分析対象者は29,904人(男性6,816人、女性23,088人)であった。虚血性心疾患を現在治療している者は420名であった。歯周病の指標として、1)喪失歯数(智歯、歯列矯正を除く)、2)5本以上の喪失歯、3)歯周炎(自己申告)、4)歯周病リスク数(歯茎からの出血、歯の動揺、口臭の3項目のうち、あてはまる項目数)の4つを設けロジスティック回帰分析を行った。共変量としては、年齢、性別、Body Mass Index、喫煙歴、飲酒歴、高血圧、糖尿病、ストレス(職業性ストレス簡易調査票による)、そして歯磨き回数を用いた。その結果、歯周病の指標各々の4つのモデルのすべてにおいて、これらの歯周病指標と消化性潰瘍との間に有意な関連がみられた。 2.平成16年のべースラインデータと健康診断データを合体させ、空腹時採血された非喫煙女性17,693名について歯周炎の現病歴、および喪失歯数(5本以上)と心血管リスクファクターの関連を調べた。歯周炎の現病歴を有する者は4,389人(24.8%)であった。年齢および飲酒を調節して比較した結果、歯周炎群は非歯周炎群に比べて有意に空腹時肥満度(body mass index)、白血球数、血糖、中性脂肪が高く、HDLコレステロール値が低かった。5歯以上喪失群では、それ未満の群に比して血糖、白血球、Body mass index、GOT、GPT、中性脂肪、尿酸値、収縮期および拡張期血圧が高く、HDLコレステロール値が低かった。これらより、(1)歯周炎群では心血管危険因子の集積がみられる、(2)アンケート調査では、歯周炎の現病歴よりも、(歯周炎の結果としての)喪失歯数のほうが危険因子との関連が強いことが示唆された。
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