研究概要 |
入院医療を受け退院した患者一人ひとりの個別の入院診療データを収集解析し、対象入院患者の最終退院日から1年前まで累積医療費と年齢との関係を分析した。解析対象となった患者は、入院時35歳以上であった9,695名(男性52%、入院時平均年齢63.2±14.1歳)で、そのうち死亡退院患者が4.5%(550名)を占めていた。1年間で2回以上入院した者は、生存退院患者で16%であったのに対し、死亡退院患者では47%を占めていた。累積在院日数(bed days)は生存退院患者と死亡退院患者の間で大きく異なっていた。死亡退院患者では年齢階級が上がるにつれ累積在院日数(中央値)が短くなる傾向にあり(35-44歳106日〜85歳以上14日)、患者1人あたりの累積医療費においても同様の傾向が認められた(35-44歳US$40,733〜85歳以上US$8,644)。生存退院患者の累積入院医療費は、35-44歳(US$3,858)から45-54歳(US$6,029)で急増していたが、その後、75-84歳までほぼ横ばい(US$6,029〜6,568)で、85歳以上では安くなっていた(US$5,379)。1入院あたり医療費総額を医療費項目別にみても、累積検査費・薬剤費も同様の傾向が認められた。 累積入院医療費について、生存退院・死亡退院、年齢階級別にGini係数を計算し、医療資源消費の不均等性を検討した。その結果、累積医療費の不均等性は、転帰・年齢階級別共に、顕著な差は認められなかった(0.5前後)が、累積検査費・薬剤費については、生存患者で0.10〜0.14大きかった。死亡退院患者における累積検査費では、年齢階級によってGini係数が大きく異なり、高齢者ほど係数が大きかった(35-44歳0.35〜85歳以上0.52)。
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