研究概要 |
適切な妊婦体重増加量を設定する目的で、正期産・経膣分娩した733人(初産婦391人、経産婦342人)を対象に、妊娠前体型からやせ妊婦(BMI<18.0)82人、標準体重妊婦573人(18.0≦BMI<24.0)、肥満妊婦78人(24.0≦BMI)に3区分して、それぞれの妊婦体重増加量の10、25、50、75、90パーセンタイル値を算出し6区分した。区分毎に、SFG児(small for gestational age infants)、低出生体重児(<2,500g)、HFG児(heavy for gest)、巨大児(≧4,000g)、遷延分娩、過期産の出現頻度を調査した。やせ妊婦では12.5kg未満でSFG児の出現が増加し(19.4%対5.0%)、14.7kg以上では過期産の危険性が高まるため12.5kg以上14.7kg未満とした。標準体重妊婦では6.0kg未満でSFG児(21.2%対6.5%、P=0.0002)と低出生体重児(23.1%対3.6%、P<0.0001)の頻度が有意に高まるため6.0kg以上とし、14.0kg以上では遷延分娩(2.7%対9.8%、P=0.02)の頻度が有意になるため14.0kg未満とした。肥満妊婦では7.1kg以上でHFG児の出現頻度(12.8%対0%)が高まるため7.1kg未満とした。適切な妊婦体重増加量は、12.5kg≦やせ妊婦<14.7kg、6.0kg≦標準体重妊婦<14.0kg、肥満妊婦<7.1kgとなった。妊婦年齢、身長、経産回数、妊娠期間、妊娠前BMI、喫煙の6因子調整オッズ比を計算すると、本基準体重増加量に達しない場合はSFG児4.0倍(2.2-7.4)、低出生体重児4.9倍(2.3-10.3)の危険率が生じ、越えた場合は巨大児20.1倍(1.5-275.5)で罹患率が高まる。
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