研究課題/領域番号 |
18590606
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研究種目 |
基盤研究(C)
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研究機関 | 茨城県立医療大学 |
研究代表者 |
小池 和子 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 教授 (60110508)
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研究分担者 |
桜井 直美 (駒田 直美) 茨城県立医療大学, 保健医療学部, 助手 (10274979)
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キーワード | 高齢者 / 地域医療 / 薬剤耐性菌 / 療養環境 / S.aureus / P.aeruginosa / 包括的見地 |
研究概要 |
わが国では未曾有の高速度の高齢化によって、高齢者は病院から介護老人(保健)施設を経由し、在宅や老人ホーム等の福祉施設あるいは、病状の変化によって病院に戻るという繰り返しを日常とする例が多くなっている。一方、市中病院におけるMRSA等の薬剤耐性菌は、その出現頻度が個々の病院により大小の差はあるものの、入院患者数の数パーセントから数十パーセントにも至るという報告が見られる。また、高齢者は急性期を経過して病院より施設へあるいは在宅へと戻るが、施設等における薬剤耐性菌に関する報告は少ない。しかしながら、高齢者は細菌感染症や、特に冬季にはウィルス感染症の集団発生によって死亡するケースも少なくない。本研究では、高齢者をとりまく療養環境の変化あるいは移動に伴い、保菌した薬剤耐性菌がどのように地球の中に汚染、分布して行くかについて、市中病院-介護施設-在宅を通して細菌学的に横断的、縦断的に実態調査し、分子疫学的手法によって耐性菌サーベイランスをおこなう。その結果包括的見地より、地域における高齢者感染対策の一方法論を提示実施し、高齢者の療養環境の改善、QOLの向上に寄与することを目的とした。茨城県つくば市にある地域医療支援病院において培養検体のデータから感染症起因菌の検出状況を調査した.調査には2005年1月〜12月までに診断・治療のために採取された入院患者の検体を対象とし、外部検査機関によって同定され、病院に報告された細菌のデータを使用した。その結果、75歳以上の後期高齢者、外科、創部・カテーテル検体、慢性期病棟等において、S.aureus、P.aeruginosaの検出率が高かったことが明らかになった.今後はこれらの日和見感染症起因菌に関して、薬剤耐性の有無を調査し、他の医療・介護施設と比較していく。現在その予備実験を行っている。 地域医療に共通の背景を持つ感染対策について、地域医療支援病院および連携施設を対象に、診断治療のために患者検体より同定されたデータを原資としてサーベイランスを行い、菌株を分離・感染対策を構築する。現段階で過去における分布状況が把握されたので、今後、実際に即してサーベイランス、分析を行い、医療現場の感染対策に資する予定である。
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