研究課題
基本的に平成18年度の実施形式を踏襲して調査を継続した。平成19年度に明らかになった問題点として、精神科もしくは小児科外来を継続して受診している和歌山県内のADHD症例の調査が、すでに平成18年度にほぼ終了し、新規のADHD症例の母親に面接を実施することが困難であることが判明した点である。すなわち軽症のADHD児童は、受診した場合でも学校や家庭などの環境調整に関するアドバイスを主治医から受けるに留まり、1〜2回の受診のみで終了するため、治療期間中に面接を実施することが困難である。換言すれば、面接を実施した症例には重症例が多いというバイアスの存在を示唆している。事実、面接実施症例のADHD RS-IV得点は約30点(54点満点)であり、14〜16が境界域とされていることからも、重症例が多いと言える。以上の問題点を踏まえながら、主要結果を概説する。調査は平成20年4月までに対象地区を大阪府や三重県まで拡大し、症例児童および母親84組、対照児童および母親232組を対象に面接調査を実施した。主な結果は下記の通りである。1.妊娠中の喫煙は児童のADHD発症に関与している可能性が示唆された(性補正オッズ比1.7、95%CI 0.9-3.3)2.妊娠中の飲酒と児童のADHDには関連性が認められなかった。3.妊娠中の中等度以上の精神的ストレスは児童のADHDと強い関連が認められた(性補正オッズ比3.1、95%CI 1.8-5.5)
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