研究概要 |
平成14〜16年度にかけて岩手県北地域で基本健康診査を受診し、追跡研究への参加に同意した男女26,469名について、平均2.7年の追跡を行い、死亡、脳卒中および心筋梗塞の罹患状況を確認した。女17,308名(61.1歳±11.6歳)のうち、40〜74歳かっ免疫比濁法による尿中微量アルブミンの測定を行った14,323名から、循環器疾患または糖尿病の既往がある者、血糖、HbAlc高値、尿路症状がある者、尿中クレアチニン濃度30mg/dL未満の者を除いた11,075名(77%)を対象とした。死亡63例、脳卒中80例、心筋梗塞5例が観察された。アルブミン指数の四分位で区分しMantel-Haenszel法によりQ1を基準とする年齢調整相対危険度を求めると、Q2-4の死亡は2.16(95%CI=0.78,5.98)、3.07(1.16,8.16)、2.93(1.13,7.62)、脳卒中は0.79(0.32,1.90)、1.76(0.85,3.63)、2.54(1.32,4.87)であり、それぞれ有意な直線性が認められた(p=0.003,p<0.001)。対数変換したアルブミン指数1上昇による死亡の多変量調整ハザード比(年齢、血圧および治療状況、BMI、喫煙と飲酒の状況、TCで調整)は1.007(0.779-1.302)と有意ではなかったが、脳卒中は1.327(1.090-1.615)と有意に高かった。対象中アルブミン指数30mg/gCr以上の者21.6%のなかに脳卒中罹患者の41.3%が含まれ、30mg/gCr以下群に対する脳卒中罹患の多変量調整ハザード比は1.685(1.050-2.703)であった。 健常中高年女性の尿中微量アルブミンは脳卒中罹患の独立した危険因子であり、アルブミン指数30mg/gCr以上について保健指導等を行うことが妥当と考えられた。
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