上記課題について平成18年度に行った3つの調査研究の結果、以下の点が明らかになった。 1 プロトコル分析調査:実際のインフォームド・コンセント文書5点を用いて、非医療者を対象にプロトコル分析調査を行った。被験者に文書を読んで感じたことを全て口頭表現してもらい、それを録音したものを文字化し、研究代表者、共同研究者(東北大学情報科学研究科准教授 邑本俊亮)が個別にカテゴリー分析した。その結果、文書の適切性に関係するのは「わかりやすさ」「安心感」と並んで、「患者が知りたい情報が書かれているか」が大きいことが明らかになった。 2 アンケート調査1:実際のインフォームド・コンセント文書2点を用いて、患者、非医療者を対象にアンケート調査を行った。内容は、(1)理解度テスト (2)わかりやすさの評価とわかりにくさの要因 (3)安心感の評価と不安感の要因 である。結果として、(1)患者の「理解度」は6割以下である (2)「わかりにくさの要因」として多くあがったのは、「情報が整理された形で示されていない」「印刷・文字の小ささにより見にくい」である (3)「不安感の要因」として多くあがったのは、「具体的に自分は何をされるのか」「自分はどうなるのか」であることが明らかになった。 3 アンケート調査2:アンケート調査1の文書2点を用いて、医療者を対象にアンケート調査を行った。内容は、患者および非医療者の(1)理解度テスト (2)わかりやすさの評価とわかりにくさの要因 (3)安心感の評価と不安感の要因 を推測するというものである。アンケート調査1の結果と比較した結果、文書情報の送り手と受けての間には大きな意識のずれがあることが明らかになった。
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