研究課題/領域番号 |
18590614
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研究機関 | 日本医科大学 |
研究代表者 |
若山 葉子 日本医科大学, 医学部, 講師 (40104062)
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研究分担者 |
勝又 聖夫 日本医科大学, 医学部, 助教 (80169482)
川田 智之 日本医科大学, 大学院・医学研究科, 教授 (00224791)
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キーワード | C型肝炎 / 地域流行 / 長期追跡 / 血清疫学 / 地域調査 / 肝がん / 肝硬変 / 慢性間疾患 |
研究概要 |
ウイルス肝炎流行時(1962〜68年)より継続して採取し凍結保存されている血清を用い、長期的に観察できた既往者を主に肝炎ウイルスの量的・質的推移と肝病態の進展との関連性について平成18年度の成果をふまえ、さらに詳細に検討を加えた。HCV抗体(III)陽性の既往者(A-c〜f群:78名)について、HCVコア抗原量の測定数を追加し、HCV-RNAジエノタイプ、HBc抗体量など適宜測定した。 約20年間にわたるコア抗原量の推移傾向から既往者(宿主側)の要因および病態の進展等を検討した。コア抗原量の推移は1000fmol/l以上の高値で推移するものと100fmol/l未満の低値で推移するものに大別され、前者では経過期間を追って値が増加するもの・経過期間ごとに値が大きく増減するものなど多彩な推移傾向が認められた。男女別・発症年齢(40才≦、40才>)別、HB抗体保有の有無別による推移傾向ごとの差は認められなかった。さらに、HBc抗体量でも有意差は認められなかった。肝機能を指標とした病態別ではコア抗原量が高値で推移するものでは肝機能異常が長期持続するもの(A-c群)が有意に高い割合を示し、低値で推移するものでは1年以内に肝機能が正常化したもの(A-f群)が有意に高い割合を示した。コア抗原が高値で推移するもののうち1年以内に肝機能が正常化したものが16%ほど存在した。コア抗原が高値で推移するもののHCV-RNAジェノタイプの検索では、肝機能異常が長期間持続するものでは1b、正常化したものでは2bが高い割合を示す傾向が認められた。以上の成績から、HCVコア抗原量の推移は既往者の病態の進展を反映し、さらにHCV遺伝子型などに影響されることが示唆された。
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