研究概要 |
1.リン脂質酸化物の分子構造の解析 ヒト血漿抽出物からLC/ESI-MSとLC/ESI-MS-MSにより、hydroperoxy phosphatidylcholine(PC 16:0/18:2-OOH), phosphatidylcholine hydroperoxide(PC 16:0/18:2-OH,PC-OH),epoxyhydroxy-PC,oxo-PC,trihydroxy-PC、hydroperoxy lyso-phosphatidylcholine(18:2-OOH)とlyso-phosphatidylcholineの酸化物(oxo-18:2)を検出した。lyso-phosphatidylcholineの分子種に18:2,20:4,16:0,18:1,18:0を検出した。 2.オキシステロールを指標とした酸化ストレス 1)アルコール性腸管障害と抗酸化剤の効果 ラットにエタノール急性投与時、小腸でコレステロール過酸化物とコレステロール酸化物は有意に増加し、アルコール摂取が酸化ストレスを高めた。ダイゼイン(大豆イソフラボン)前投与により上記効果が相殺された。 2)飢餓 ラットを水自由摂取下に1日又は2日間絶食とした。ヒラメ筋、足底筋、肝臓のコレステロール酸化物を指標とすると、絶食による酸化ストレスは1日目の方が大きかった。 3)緊縛解除 マウスの一側大腿を3時間緊縛後、解除することにより、筋の他に腎臓や肝臓で脂質過酸化の亢進が生じた。 3.D-ガラクトサミンによる肝障害作用と抗酸化剤の効果 肝障害性を有するD-ガラクトサミン投与により、ラットの肝臓・脳・足底筋でコレステロール過酸化物及び同酸化物が増加した。ダイゼインではD-ガラクトサミンに対する抗酸化効果が認められたが、α-トコフェロールでは効果は認められなかった。 以上の結果より、脂質過酸化物と酸化物は病態や組織傷害の指標となる事が判明した。
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