研究概要 |
本研究では溺水域(淡水・汽水・海水)の推定に有用な水棲微生物を検討するため,水の塩濃度と,珪藻及び水棲細菌の関係について調査をおこなうこととした.本年度は以下の項目について検討した.1.[各水域での水の採取]宮崎県内の2つの河川(大淀川及び一ツ瀬川)について干潮時と満潮時にそれぞれ計17箇所から水を採取した.また各地点において表層と底層の2箇所から水を採取した.2.[各サンプル水の塩濃度及びpH]水の塩濃度を,3つのタイプ,即ち0.05%以下を-,0.06%-2.8%を+,2.8%以上を++に分類すると,各採水地点の塩濃度は上流から表層,底層共に-の水域,表層が-,底層が+ないし++の水域,表層,底層共に+ないし++の水域に分かれた.また各地点におけるpHの値は,7.4-8.2の範囲内で塩濃度とほぼ同様の変動を示した.3.[各サンプル水中の珪藻について]各地点の水50mlを用いて通常の砂皿上壊機法と同様の条件で3時間壊機処理し,珪藻の数,大きさ及び種類について検討した.淡水中に認められる珪藻類の中で,大きさと形に特徴を示し,海水中では殆ど認められない種類が認められた(大型の波状目珪藻のうち,50μm以上のSynedra spp.及びFragilaria spp., Cymbella spp.).また海水中に認められた珪藻類の中でも,形態的特徴を有し,淡水珪藻との識別が容易な種類がいくつか示された(落花生型のDiploneis spp.,大型のThalassiosira spp.及びCoscinodiscus spp., Actinoptychus spp., Chaetoceros spp.,その他Biddulphia spp., Dictyocha spp.渦鞭毛藻類).さらに汽水域で認められる海水珪藻としては落花生型のDiploneis spp.が高頻度に検出された.
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