研究概要 |
1)新規酸化ストレス関連バイオマーカーとして18年度に開発したニトロトリプトファンのイムノアッセイを行い,すでに開発したHNEやニトロチロシン(NT)との関連について検討した.国立循環器病センターとの共同研究で提供された健康な人(30歳代から70歳代)の血清170検体についてのHNE,NT,ニトロトリプトファンの測定をおこない,これらのマーカーの男女差,年代による値の変化を知ることができた.また,これらの検体で得られた各年代の正常値と比較して慢性心不全患者,急性心不全患者血清中の酸化ストレスの変化について検討した.血清中のHNEやNT,ニトロトリプトファン濃度は年代が上る程低くなり,NTやニトロトリプトファンは性差がなかったが,mEは50代のおそらく閉経期から女性が高くなる傾向を示した.また,HNEは慢性心不全患者では正常人より高かったが,急性心不全患者では回復期からむしろ上昇する傾向が認められた.この理由についてさらに犬を用いた二つの疾患のモデルで検討を行い,臨床診断システムに役立つかどうかを今後検討する. 2)東京女子医大循環器内科から提供された睡眠時無呼吸症候群のヒト血漿検体のHNEを測定し,予備実験において,血中HNEの上昇を確認したのでさらに事例を増やして検討する.治療用の装具の有用性はHNEの減少としては認められなかった.今後,治療効果に関係があるかどうか有意差が得られるまで測定数を増やして行う. 3)時間分解蛍光顕微鏡とEu蛍光ラベル剤を用いて,ストレプトゾトシン投与ラット腎臓のニトロチロシンを視覚化し,他の蛍光ラベル剤より特異性が非常に優れていることを見いだした.
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