研究概要 |
症例における検討(虎の門病院;大野,東京女子医大;鶴見らとの共同研究) 睡眠時無呼吸症候群(Sleep Apnea Syndrome:SAS)には中枢性と末梢性があり,後者は肥満による上咽頭筋の緊張低下による上気道閉塞を伴うことが多い.SASは間歇的低酸素・高炭酸血症,血小板凝集能・血液凝固能上昇,交感神経系過緊張,Renin-Angiotensin Systemの活性化による高血圧,急性冠症候群,不整脈等との関連性が注目されている.虎の門病院の生命倫理委員会の審査を経て,インフォームドコンセントを得て採取したSAS患者血清中の酸化ストレスマーカーである4-hydoroxy nonenal(HNE)およびニトロチロシン,ニトロトリプトファンの測定をした.また,同じく東京女子医大の論理委員会の承認,インフォームドコンセントを得て採取したSAS患者血清のcontinuous positive airway pressure(CPAP)という就寝時の無呼吸を軽減させるための医療器機装着による治療前後の比較を行った.病態とHNE・NT値との関連性については検討中であるが,SAS患者血清は健常者に比べて有意にHNEが上昇していた.また,ニトロトリプトファンが減少していた.過酸化脂質であるHNEの上昇は活性酸素の上昇によるものと思われるが,ニトロトリプトファンのようなニトロ化物の減少はSAS患者の高血圧に伴うNO syntaseの増減とも関連があることを推測させ,興味ある結果になった.CPAP装着後は,HNEはむしろ上昇していた.装着による精神的なストレスによってむしろ酸化ストレスが増えていることが推測され,装具に慣れる半年後の検体を採取して調べる必要性がある. 今後これらの酸化ストレスマーカーの病態における役割を明らかにし,病態マーカーとしてのHNE・NTの意義を明らかにする予定である.
|