研究概要 |
【研究目的】 本研究は、癌転移に関わる宿主側の血管内皮細胞上のVRGF受容体-2のリン酸化、癌組織側のVEGF産生、HIF-1αやCyclooxygenase(COX)-2発現とマクロファージや脾臓細胞での自然免疫(Toll-like Receptor 4)機能活性化による天然物由来の各種Stilbene類を検討した。 【研究実績の概要】 1.タデ科Polygonumu multiflorium根から単離し、抗腫瘍・抗転移効果の認められたResveratrolを指標として、誘導体15種類を合成した。ヒト血管内皮細胞でのMatrigelによる血管腔形成や遊走能を検討した結果、1μMで阻害活性を示したのは2,3-dihydroxystilbene,3,4-dihydroxystilbene,4,4'-dihydroxystilbeneの3種類であった。Resveratrolは25μMで阻害活性を示した。 2.血管内皮細胞上のVEGF受容体2-リン酸化も上記Stilbene類は1μM濃度で抑制した。 3.低酸素下での大腸癌細胞(Colon 26)からのVEGF産生およびHIF-1α発現には上記Stilbene類は影響を示さなかった。 4.上記Stilbene類およびResveratrolはColon 26でのCOX-2発現を増加した。COX-2活性はResveratrolによって抑制されたが、上記Stilbene類はCOX-2活性に影響を示さなかった。 5.Colon 26から分泌するMMP-9活性を上記Stilbene類は1および5μMで抑制した。 6.現在、これら天然物由来のStilbene類について、TLR4変異マウスから得たマクロファージや脾臓細胞でのLPS応答について検討し、併せて、癌移植したTLR4変異マウスと野生型マウスでの抗腫瘍効果を比較検討し、その作用機構を明らかにする。 (論文は投稿中)
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