【研究目的】本研究は、癌増殖や癌転移に関わる宿主側の血管内皮細胞上のVEGF受容体-2の発現やリン酸化、および癌組織側のVEGF産生やCyclooxygenase (COX)-2発現、マクロファージでの自然免疫(Toll-like受容体4)機能活性化を天然物由来および合成したStilbene類の作用を検討した。活性の強い化合物を選び出し、Colon 26移植マウスを用い、抗腫瘍効果、腫瘍血管新生作用をIn Vivoで検討した。 【研究実績の概要】 1.平成18年度は15種類のStilbene化合物を検討し、今年度は新たに6種類の化合物をタデ科Rheum属、Polygonum属およびマメ科Cassia属から6種類のStilbene化合物を単離し、以下の実験項目について評価した。 a)VEGF誘導による血管新生阻害作用、b)血管内皮細胞上のVEGF受容体-2のリン酸化阻害作用、c)低酸素下での大腸癌細胞(Colon 26)からのVEGF産生抑制作用、d) Colon 26細胞でのCOX-2発現および活性の阻害作用、e) Colon 26細胞でのMMP-9発現の抑制作用 その結果、平成18年度で見出した3種類のDihydroxystilbeneよりも強い阻害活性を見出せなかった。 2.Colon 26移植マウスでの3種類のDihydroxystilbeneおよびResveratrolの抗腫瘍効果を検討し、その結果、3種類Dihysorxystilbene(8mg/kg)の抗腫瘍効果はResveratrol (10mg/kg)と同等の抗腫瘍活性を示した。 3.Colon 26封入Chamber移植マウスでの腫瘍血管に対する影響を上記3種類のStilbeneを検討した結果、強い腫瘍血管新生抑制作用を見出した。 4.Toll-like受容体変異癌移植マウスを用い、Toll-likeの関与を検討中である。(論文は投稿中)
|