研究概要 |
2005年は、計81例の転移性肝癌患者に経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。2003年の31例、2004年の43例と比べれば著明な増加である。 99年2月から06年6月末に1,373例(ただし延数は2,856例)にRFAを施行したが,その内94例(6.8%)が転移性肝腫瘍だった。延べでは155例にRFAを実施した。原発は、大腸癌60例,胃癌13例,乳癌7例,その他14例だった。 RFAを施行した転移性肝腫瘍94例全例の生存率は1年89%、2年72%、3年64%、4年56%、5年45%、6年37%だった。フォロー脱落例はなく,生存66例,死亡28例である。大腸癌肝転移60例では生存率は1年93%、2年79%、3年71%、4年60%、5年45%、6年36%だった。 従来、転移性肝腫瘍治療の第一選択は肝切除とされてきた。その根拠は外科的切除以外の治療では長期生存が得られないためと言われている。しかし、今回、我々のRFAのデータを解析したところ、多くの症例が切除不能であるにもかかわらず、5年生存率は45%と、肝切除と同等以上と思われる成績を達成できた。5例は既に5年以上生存している。肝細胞癌で培った再発をより早く見つけ、低侵襲で治療を繰り返すというストラテジーが、転移性肝腫瘍でも有効なためと思われる。我々のRFAは転移性肝腫瘍治療の選択枝に加えられるべきだろう。 ランダム化比較試験に関しては疫学の大橋教授等にコンサルトしたが、多施設共同でランダム化比較試験を行なうことは現在の体制では資金等を考えても困難であり、代替案として、東大でのRFAを希望して各施設から東大に紹介された症例(RFA・化学療法併用群)と東大でのRFAを希望せず各施設で治療を受けた症例(化学療法単独群)を比較するスタディをしてはどうかとのアドバイスがあった。今後どのようなスタディデザインにするかを検討中である。
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