研究概要 |
08年は86例の転移性肝癌に経皮的ラジオ波焼灼術(RFA)を施行した。当科は特に大腸癌肝転移に力を入れてRFA中心の集学的治療を行なってきた。その適応は、根治目標群は、切除不能または切除希望せず、5cm5個以内、肝外病変なし、主要脈管に広範に接しない、とした。腫瘍減量群は、主病変が肝臓に存在し化学療法未施行または有効例とした。08年8月までに122例にRFAを実施した。年齢64.8±11.4歳(81歳以上11例)、男性75例、径3.3±1.3cm、病変数4.1±5.0個だった。94例(77%)で前治療(全身化療63例、肝切除35例、動注21例、他院RFA6例、TAE2例、VATSI例、子宮両側付属器切除1例、〔重複あり〕)があった。64例は切除困難で、理由は切除不能肝外病変36例(肺28例[切除可能2例は含まず]、腹膜播種10例、リンパ節11例、原発巣再発7例、骨2例、脾臓2例、卵巣1例、副腎1例、腹壁浸潤1例、[重複あり])、心肺疾患合併7例、多発肝転移22例、肝切除後多発再発3例、断端再発3例〔重複あり]だった。術前検査は胸部〜骨盤部CTとUSだけでPET等は行なっていない。治療後は3ヶ月毎に胸部〜骨盤部CTと腫瘍マーカーを検査した。FOLFOX、FOLFIRI導入後は術後全身化療を原則としたが、患者希望等により無治療、S-1内服になる例もあった。122例の生存率は1,3,5,7年92%,60%,37%,30%で、5年生存11例、7年生存5例だった。根治目標群58例では1,3,5,7年96%,81%,62%,51%だった。従来、肝転移では切除以外には長期生存が得られないとされ、第一選択は切除とされてきた。しかし、RFA中心の集学的治療では、切除不能例が多く含まれるにもかかわらず、生存率は良好であり長期生存例も少なくない。再発を早期発見し低侵襲治療を繰返すというストラテジーは転移性肝癌でも有効と思われる。
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