研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
廣岡 芳樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50324413)
大宮 直木 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00335035)
安藤 貴文 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378041)
長坂 徹郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40262894)
|
研究概要 |
一般に胃癌は組織学的に分化型癌と未分化型癌に分類されるが、最近の免疫染色の進歩により分化型癌にも胃型の粘液形質が存在し、腸型の分化型癌より悪性度が高いと報告もされている。共焦点内視鏡(CEM)を用いて胃癌の粘液形質の診断が可能かを検討した。 胃癌40症例中29症例(早期胃癌24例、進行胃癌5例)を対象にした。組織型は高分化・中分化型胃癌20症例、低分化型胃癌9症例であった。切除標本でMUC2、CD10、HGMの免疫染色を施行し、杯細胞、刷子縁、胃腺窩上皮の存在を評価して、CEM画像と対比した。病理医1名と内視鏡医2名にCEM画像で組織型を判定して、病理組織と対比したところ、正診率は病理医93.1%、内視鏡医は93.1%、86.2%であった。刷子縁はCEMでは腺窩細胞の内腔側に細い黒い線として観察され、29症例中の47部位をCD10で染色して対比したところ、内視鏡医2名の判定で感度、特異度、正診率はそれぞれ88.2%,93.3%,91.5%(内視鏡医A),88.2%,93.3%,91.5%(内視鏡医B)であった(κ値:0.82)。杯細胞はCEMでは腺窩細胞内に黒いspotとして描出され、29症例52部位をMAC2で染色して対比したところ、感度、特異度、正診率はそれぞれ85.0%,93.3%,90.4%(内視鏡医A),75.0%,96.9%,88.5%(内視鏡医B)であった(κ値:0.79)。腸型形質胃癌の診断を杯細胞か刷子縁どちらかの存在で診断すると、内視鏡医2名のCEM画像による腸型形質診断の感度、特異度、正診率はそれぞれ86.7%,78.6%,82.8%(内視鏡医A),80.0%,85.7%,82.8%(内視鏡医B)であった。 共焦点内視鏡により生体内においてリアルタイムで胃癌における杯細胞と刷子縁を描出ができ、腸型形質の診断と組織型の診断が可能であるとことが示唆された。
|