研究分担者 |
後藤 秀実 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 教授 (10215501)
廣岡 芳樹 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (50324413)
大宮 直木 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (00335035)
安藤 貴文 名古屋大学, 医学部附属病院, 講師 (80378041)
長坂 徹郎 名古屋大学, 大学院・医学系研究科, 准教授 (40262894)
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研究概要 |
共焦点内視鏡を用いて胃粘膜での共焦点内視鏡の画像と病理組織像との対比をした。共焦点内視鏡検査が施行された54例のうち、早期胃癌患者の27例を対象に通常内視鏡を用いて胃粘膜の観察を行った後、共焦点内視鏡(Pentax EG-3870CIK, Pentax社,Tokyo, Japan)検査を行った。微小血管を造影する目的でfluorescein sodium 500mgを静脈内投与し、胃底腺粘膜、幽門腺粘膜および胃癌粘膜を観察し、組織像と対比した。 胃底腺粘膜の共焦点画像では、腺開口部を取り囲むように花弁状に腺窩細胞が配列していた。一方、幽門腺粘膜は、畝状に配列した腺窩細胞を観察でき、間質では畝状構造を取り囲むように血管が強く染影されており、CD34染色との対比でこの畝状構造が腺開口部に相当した。 分化型癌の共焦点画像では不整な腺管構造が観察された。切除された同部位の組織像では、不整な管状腺管がみられ、共焦点内視鏡画像とよく一致していた。未分化型癌の共焦点画像では腺管構造は認めず、無構造となっていた。同部位の組織像では明らかな腺管構造を構成しない、びまん性に増殖する異型細胞を認め、共焦点画像と一致する結果であった。 目的病変の共焦点画像が得られたのは59.3%であった。良好な共焦点内視鏡画像を用いて二人の病理医によって胃癌診断を行ったところ、共焦点内視鏡検査の感度、特異度、正診率はそれぞれ、81.8%, 97.6%, 94.2%(病理医A)、90.9%, 97.6%, 96.2%(病理医B)であった。 共焦点内視鏡は粘膜の細胞レベルの観察を生体内でリアルタイムに行うことができ、胃癌診断および背景胃粘膜の診断において有用であった。将来的にはVirtual biopsyを可能とし、不必要な生検を減らせ得る可能性があると思われた。
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