研究概要 |
(目的)モチリンおよびモチリン受容体は,消化管運動機能に重要な役割を果たしている。申請者は,モチリンがモチリン受容体のN末端枝,第一,第二,第三細胞外ループのperimembranousのアミノ酸残基に結合すること,モチリン受容体のN末端枝内の2個のCys残基と第一,第二細胞外ループのCys残基はモチリン機能発現に重要であること,ペプチドリガンドのモチリンと非ペプチドリガンドのエリスロマイシンの結合部位は異なることを明らかにしてきた。今回,リガンド-受容体結合の機構のさらなる解析を目的として,モチリン作用に必須の細胞内アミノ酸残基の同定を行った。(方法)モチリン受容体の第一,第二,第三細胞内ループの3ないし6アミノ酸残基を連続性に欠失させた変異受容体,あるいは1アミノ酸残基をAlaあるいはPhe, Hisに置換した変異受容体を作成し,COS細胞に一過性に発現させ,モリリンあるいはエリスロマイシン刺激による細胞内カルシウム濃度変化をFURA-2-AM系で,モチリン結合能を131-I標識モチリンの競合的結合解析で,測定した。(結果)モチリン受容体の第一細胞外ループではTyr66が,第二細胞内ループではArg136が,第三細胞内ループではVal299が,それぞれ変異した受容体において,モチリンおよびエリスロマイシンの作用発現が低下した。(結論)モチリン受容体の細胞内ループに,機能発現に必須の新たなアミノ酸残基を同定した。
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