研究課題
(目的)モチリンおよびモチリン受容体は、消化管運動機能の調節に重要な役割を果たす内因性因子である。申請者は、モチリンがモチリン受容体のN末端枝、第1、第2、第3細胞外ループのperimembranousなアミノ酸残基に結合すること、ペプチドリガンドのモチリンと非ペプチドリガンドのエリスロマイシンの結合部位は異なること、モチリンおよびエリスロマイシン結合後の細胞内カルシウムシグナル伝達系は共通経路であることを明らかにしてきた。今回、糖尿病性消化管運動機能低下例に対するモチリン受容体作働性物質の有用性を明らかにするため、糖尿病例の消化管におけるモチリン受容体発現を解析した。(方法)研究への同意の得られた手術患者あるいは病理解剖が施行された糖尿病患者20例を対象に、全消化管から一部は全層、一部は粘膜層と筋層に分離して組織を採取した。モチリン受容体特異的なprimerを設定し、real time RT-PCRで定量を行った。またモチリン受容体特異抗体を用いて、酵素抗体間接法にて消化管組織の染色を行った。(結果)糖尿病例におけるモチリン受容体は、下部食道から遠位側大腸までの全消化管において,long form typeのみが発現していた。全消化管において、部位による発現差異は見られなかったが、筋層では粘膜層に比べて10-100倍多く発現していた。筋層内では、筋細胞の細胞膜、細胞質とともに筋層間神経叢にも強く発現していた。非糖尿病例との間で、発現様式に差はみられなかった。(結論)全消化管にモチリン受容体は発現しており、モチリンが全消化管運動に関与していること、モチリン受容体アゴニストが消化管機能異常症の治療に応用できることを明らかにした。
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http://www.m.ehime-u.ac.jp/school/int.med3/index.html