潰瘍性大腸炎(UC)に対する血球成分除去療法にて分離された白血球より磁気ビーズを用いて制御性T細胞(Treg)分画(CD4+CD25^<high>T細胞)を分離した。Treg特異的転写因子FOXP3発現細胞の割合を解析した。培養前FOXP3^+/CD4^+は56.8±4.9%であった。 <制御性T細胞の分離・培養> 分離されたTregをTGF-β1 2ng/ml存在下、非存在下に抗CD3抗体、抗CD28抗体、IL-2により刺激し10日間培養した。FOXP3^+/CD4^+は、TGF-β1非存在下では培養後28.8±13.3%と低下したが、TGF-β1存在下では47.4±14.7%と培養前と同程度に維持された。10日間の培養にてCD4^+FOXP3^+Tregを3〜20倍に増加させる事ができた。どちらの条件で培養されたTreも、正常CD4^+T細胞との共培養にて細胞増殖した。 分離したTregをin vitroで増殖させる事が可能であり、TGF-β1により割合を維持することが可能であった。 <制御性T細胞の誘導> UC患者末梢血より分離したCD4^+CD25^-T細胞(非Treg)を上記刺激条件で培養した。培養前のFOXP3^+/CD4^+は5.0±2.6%であった。培養後のFOXP3^+/CD4^+はTGF-β1非存在下で16.9±8.5%、TGF-β1存在下で38.9±14.8%であった。TGF-β1非存在下に培養した細胞は正常CD4^+T細胞との共培養で細胞増殖を抑制しなかったが、TGF-β1存在下に培養した細胞は、分離したTregと同様にCD4^+T細胞増殖を抑制した。 非TregよりTGF-β1存在下にTregをin vitroで誘導する事が可能であった。 以上より、UC患者末梢血よりex vivoに増殖させたTregやin vitroで誘導したTregの治療への応用が期待できる。
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