CD4^+CD25^+制御性T細胞(Treg)のin vitroでの分化誘導が可能であれば、潰瘍性大腸炎治療へのTregの応用に有用である。そこでrapamycin(RAPA)によりCD4^+T細胞からTregがin vitroで誘導可能か、誘導されたTregに大腸炎抑制能があるかどうか検討した。 Balb/cマウス脾臓よりCD4^+細胞を分離し、抗CD3抗体、抗CD28抗体、RAPA0、20、または100ng/ml、IL-250または200U/mlで21日間刺激培養し、TregマーカーCD25とFoxP3発現細胞の割合を細胞内染色・フローサイトメトリーで検討した。RAPA20ng/ml、IL-250U/mlで培養した細胞の17%がCD25^+FoxP3^+であったのに対して、RAPA非存在下で培養した細胞はほとんどCD25、FoxP3を発現していなかった。RAPA、IL-2を高濃度とする事でCD25^+FoxP3^+細胞の割合が更に上昇することはなかった。 次にRAPA誘導Tregの大腸炎抑制能を検討した。CB-17 ScidマウスにBalb/cマウス由来のナイーヴcd4^+T細胞(CD4^+CD62L^+CD25^-)1×10^6を腹腔内投与して大腸炎を誘導し、同数の分離・培養Tregを同時移入した。以下の5群を作成し検討した。A)PBS腹腔内投与群、B)ナイーヴCD4^+T細胞単独投与群、C)ナイーヴCD4^+T細胞、脾臓より分離したfresh Treg同時投与群、D)ナイーヴCD4^+T細胞、RAPA誘導Treg同時投与群、E)ナイーヴCD4^+T細胞、RAPA非存在下で培養したCD4^+T細胞同時投与群。B、E群で大腸炎が誘導とれ、C、D群で大腸炎の発症が抑制された。よってRAPA誘導Tregはfresh Tregと同様に大腸炎抑制能を有する事が示された。
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