研究課題/領域番号 |
18590688
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
末廣 陽子 九州大学, 生体防御医学研究所, 助教 (50380522)
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研究分担者 |
谷 憲三朗 九州大学, 生体防御医学研究所, 教授 (00183864)
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キーワード | 養子免疫療法 / RNF43ペプチド / 制御性T細胞 / 樹状細胞 / IL-2 / 大腸癌 / シクロホスファミド / 活性化リンパ球 |
研究概要 |
本研究は腫瘍抗原RNF43ペプチドに特異的な活性化リンパ球を誘導するとともに癌部における制御性T細胞の排除および活性化免疫細胞クローンの生体内での維持を目的として実施した。癌患者3症例の末梢血よりRNF43ペプチドパルス樹状細胞を作成しリンパ球と共培養して得られた活性化リンパ球は、RNF43陽性細胞株に有意な細胞障害活性を認めた。また培養で得られた細胞の一部にCD45RO、CCR7陽性T細胞を認めメモリ同系T細胞への誘導が認められた。本臨床研究への参加を希望され、文書にての同意を得た各種悪性腫瘍患者24症例でRNF43の発現解析(RT-PCR法)を施行したところRNF43mRNAの高発現を認めたのは大腸癌10症例中5症例のみであった。この結果は事前に実施されたマイクロアレイ解析の結果と比較し低かった。現在までに、上記5例の大腸癌患者の中で適応基準を満たした1症例が本第一相臨床試験に登録され、シクロボスファミド300mg/m^2(day-4)、CTL2×10^8細胞(day0)、樹状細胞1×10^7細胞(day0、7、14)、IL-2(day0、1、2、7、8、9、14、15、16)が投与された。経過中、発熱、接種部硬結(grade2)を認めた他は明らかな有害事象を認めず安全に実施された。抗腫瘍効果に関しては、腫瘍マーカーの上昇(CEA683.4→818.1ng/ml、CA19-9 1267→2434U/ml)、腫瘍病変の増大を認めPDと判定した。接種終了後の生存期間は2ケ月であった。現在第二例目のエントリー待ちである。 本免疫療法は、制御性T細胞の排除と投与リンパ球の生体内維持を目的とした樹状細胞、IL-2投与を組み合わせたことにより従来施行されている免疫療法の問題点を克服できる可能性が期待できるものと考えているが、今後さらに症例数を積み重ねての検討が必要である。
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