研究概要 |
I.症例による検討 上部消化管内視鏡生検組織を用いた検討では、内視鏡的生検組織を用いて、慢性胃炎(化生性胃炎、萎縮性胃炎)、胃潰瘍、早期胃癌、進行胃癌、MALTリンパ腫胃組織の採取し、PCR法による検討を行った結果、MALTリンパ腫では5/14,その他の疾患では合わせて3/205のH.heilmannii(Hh)陽性率を認めた。 また、細菌学的、分子生物学的検討として、16S rRNAおよびureaseのsequenceを検討しGENETYX-MAC : UPGMAによりcluster解析を施行した結果、H.heilmanniiおよびH.suisに分類される菌であることが明らかとなった。 病理組織学、免疫学的検討からは、われわれが作成したHpのLPSに対するポリクローナル抗体の交叉反応性およびin situ hybridization法(microprobe法)のいずれにおいても生検組織内に陽性所見を認めた。 また、rapid urease testの結果との比較では、H.heilmannii陽性症例の中にRUT陽性例と陰性例が混在することが明らかになったが、組織学的変化のと関連は不明だった。 II.感染モデルによる検討 カニクイザルより分離、マウスに継代し、Hhとして同定、登録している菌を含んだ胃粘液を採取し、胃ゾンデによりC57BL/6マウスに感染させ、1,2,3,6,12ヶ月後の胃組織を採取し、、病理組織化学的検討、PCR, in situ hybridization法による検討を行った。その結果、感染6ヶ月以降のマウスでは全例に胃底腺粘膜内に隆起性病変を認めた。また壁細胞内への浸潤およびapoptosisの所見が観察された。リンパ腫は、low grade B cell lymphomaであることが電子顕微鏡および免疫組織化学的検討から明らかになった。
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