研究概要 |
選択的COX-2阻害剤セレコキシブのH.pylori感染スナネズミ胃癌発症予防効果の検討により、セレコキシブの発癌に及ぼす影響を明らかにした。以下に結果を示す。20匹中胃癌は13匹で発症したが、セレコキシブ投与群では22匹中胃癌発症は5匹であった。発症率はそれぞれ65%,23%でありセレコキシブの発癌抑制効果は有意であった。腸上皮化生出現率はスナネズミ群で100%であったが、セレコキシブ投与により50%に抑制された。Wester blotで観察されるCdx2発現、COX-2発現はH.pylori感染スナネズミ群に比ベセレコキシブ投与群で有意に抑制されたことから、セレコキシブはCdx2の発現を抑制し腸上皮化生進展を抑制していることが示唆された。セレコキシブはCOX-2活性のみならずCOX-2発現も抑制したことから、COX-2を介したプロスタグランジンE2のセレコキシブによる抑制を介したCdx2発現の抑制に加えて、セレコキシブによる直接、間接的なCdx2発現抑制作用が示唆される。このように、COX-2,Cdx2発現に関与するNFkappaB転写因子のセレコキシブによる抑制が示唆された。今回の検討ではセレコキシブは腸上皮化生の出現を抑制し、癌発症を抑制したことから腸上皮化生を介した胃発癌に対する効果よりもより早い段階で炎症反応を抑制することにより腸上皮化生への進展を抑制し発癌を抑制したといえる。今後、腸上皮化生からの発癌に対してセレコキシブが有用か否かの検討が必要である。
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