研究課題
抗体産生細胞は、CD4陽性ヘルパーT細胞の補助の下様々な異物特異的な抗体を産生するB細胞(B-2細胞)、すなわちT細胞依存性B-2細胞と、ヘルパーT細胞非依存性に抗体を産生するB細胞(B-1細胞)とに大別される。これまでの研究で報告者らは、ピロリ菌より採取・精製した菌体制分ウレアーセが、ヘルパーT細胞の非存在下でマウス由来のB-1細胞を選択的に活性化することを見いだした(Infect. Immun.74:248-2565,2006)。そして、こうしたB-1細胞をピロリ菌ウレアーゼで刺激したところ、培養上清中に自己抗体としてのリウマチ因子(RF)や抗DNA抗体が放出されることを発見した。そこで本年度は、こうしたピロリ菌ウレアーゼがB-1細胞を活性化するメカニズムを探るため、まずピロリ菌の培養上清中に実際にウレアーゼ蛋白がどの程度放出されるかを調べてみた。その結果驚くべきことに、報告者等が開発した各種のピロリ菌ウレアーゼ特異的抗体群(Infect. Immun.69:6597-6603,2001)を駆使しても、培養上清中には全く菌体由来ウレアーゼ蛋白は検出されなかった。次に、ウレアーゼ蛋白が胃粘膜への生着に不可欠な因子である事実に基づき、菌体表面へのウレアーゼの発現状況を検討した結果、予想通り菌体表面に多量のウレアーゼの発現が観察された。そこで、ウレアーゼを欠損したピロリ菌を入手し、このウレアーゼ欠損株と非欠損株ピロリ菌をプレート上に固着させ、B-1細胞を添加培養し、上清中のリウマチ因子や抗DNA抗体の放出量を測定したところ、ウレアーゼ非欠損株とともに培養した場合においてのみ、これらの自己抗体が検出された(論文投稿中)。こうした事実は、ピロリ菌表面のLPSなどではなく、菌体表面〓発現したウレアーゼが直接にB-1細胞を刺激し、自己抗体の産生・放出を促したしたことを示している(794字)。
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