研究概要 |
本年度はPten KO肝細胞における蛋白分解速度の定量化とautophagic vacuoleの形成障害の生化学的解析を試みた。 オートファジーにおけるPten欠損の効果を定量化するために、培養Pten KO肝細胞と野生型肝細胞の蛋白を^<14>C-leucineでラベルし,蛋白分解を測定した。野生型肝細胞では,飢餓状態下で非飢餓状態下に比較して,蛋白分解が著明に増強しているのに対して,Pten KO肝細胞では,飢餓状態と非飢餓状態で蛋白分解に差はみられず、肝細胞におけるオートファジーによる蛋白分解はPten欠損により著明に減少することを明らかにした。 電子顕微鏡を用いた検討でPten KO肝細胞では, autophagic vacuole(autophagosome+autolysosome)の形成が障害されていることをすでに明らかにしているが,その形成障害にautophagosomeの形成障害に加え,autophagosomeからautolysosomeへの成熟障害が寄与していることを明らかにした。飢餓状態におかれたPten KO肝細胞と野生型肝細胞に蛋白分解酵素阻害剤を投与後, Percoll gradient centrifugation法によってautolysosomeを分離し,そのlysosome marker(β-hexosaminidase, LGP85),autophagosome marker(LC3-II), autolysosome marker(p32)を測定した。 Pten KOマウスの肝臓から得られたautolysosome fractionではβ-hexosaminidase活性やLGP85, LC3-II, p32の発現が抑制されており,autophagosomeの形成障害に加え,autophagosomeからautolysosomeへの成熟が障害されていることが示された。
|