研究概要 |
CARノックアウトマウスを用いた解析 メチオニン・コリン欠乏食(MCD食)を用いて、マウスに実験的に非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)を作成した。MCD食8週間投与にてWTマウスでは血清ALT値及び肝臓組織への炎症細胞浸潤がKOマウスに比べ有意に高かった。肝臓中の脂質濃度及び組織学的な肝臓への脂肪沈着には両群間で有意な差は認められなかった。肝臓組織中の過酸化脂質(F2-isoprostane、4-hydroxynonenal(4-HNE))はWTではKOに比べ有意に高かった。WTマウスのMCD食投与群ではCARの核内への移行が見られ、CYP2B10、2C29、3A11 mRNAが上昇していた。CYP2E1の発現(蛋白及びmRNA)は両群間で差は認められなかった。長期の飼育(16週間)では、肝臓の線維化がWTで強く(alpha-SMA染色、Shius red染色)、Collagen 1alpah-1、TIMP mRNAはWTで有意に上昇していた。すなわち、CARのKOマウスではWTマウスに比べ、MCD食によるNASAが有意に軽く、その原因としては、KOマウスでは一部のCYPの活性化が見られず、セカンドヒットとしての過酸化脂質の産生が低いことにあった。CARはMCD食によるNASHモデルにおいて、NASH発症に関与していることが示唆され報告した(Yamazaki Y, Kakizaki S, et al. The role of nuclear receptor CAR in the pathogenesis of non-alcoholic steatohepatitis. Gut,2007,in press)。NASH起因性薬剤及び治療薬のIn vivoでの薬物代謝酵素への影響も検討中である。
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