研究概要 |
C型肝炎ウイルス(HCV)感染症においては炎症の慢性持続化や肝癌の発生が効率に認められ、酸化ストレスとの関連が示唆されている。 我々は、CH-Cおよび非アルコール性脂肪肝(NAFLD)において、脂肪酸化(peroxidation)によって生ずる酸化ストレスのマーカーである血清8-イソプロスタンを測定した。75例のCH-Cおよびとして14例のNAFLDにおいて、血清8-イソプロスタン値を健常者と比較すると、CH-CおよびNAFLDでは8-イソプロスタン値は有意に高値であった(CH-C ; P<0.01< NAFLD ; P<0.05)。このことより、CH-Cにおける酸化ストレスの発生原因として、脂質酸化の増加も関与している事が明らかになった。 次にCH-C患者の肝組織における血清フェリチン値、肝内鉄沈着スコアおよび肝組織におけるhepcidine mRNAの発現レベルと肝組織内における酸化ストレスマーカーのひとつである8-hydroxy-2'-deoxyguanosine(8-OHdG)の発現レベルとの相関を調べたところ、有意な相関を認めた(vs血清フェリチン;r=0.565,vs肝組織鉄沈着スコア;r=0.403,vs肝hepcidine mRNA ; r=0.516)。これにより、CH-Cの肝組織内の鉄沈着によるDNAのダメージが明らかになった。 さらにHCVのgenomeをtransfectした培養細胞を用いて、鉄結合トランスフェリンの負荷によるtransfenin receptor2(TfR2)やhepcidineの発現変化について、in vitroにて検討中である。
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