研究概要 |
肝発癌、進展は、多段階過程を経て、成し遂げられるが、その詳細な分子メカニズムはよくわかっていない。肝癌治療による5年生存率は5%以下と非常に悪く、外科以外の新しい治療法が必要である。ヒト肝癌で過剰発現する癌遺伝子ガンキリンがin vivoで前がん病変形成過程の種々の重要な各ステップにおいて、肝細胞癌化に対して、どのような影響を与えるのかを解析するため、ガンキリントランスジェニックマウス肝癌モデルを作製した。ガンキリントランスジェニックマウスに誘導される肝腫瘍をMRI、PETで経時的に観察した。ガンキリンは、がん抑制遺伝子産物pRbタンパクと複合体を形成し、pRbのリン酸化を部位特異的に亢進し,E2F1を介する転写活性を上昇させた。ガンキリンはpRbの分解を亢進することにより、pRbを不活化した。p28/gankyrin/PSMD10は、ユビキチンリガーゼMDM2と結合し、がん抑制遺伝子p53のポリユビキチン化と26Sプロテアソームでの分解を促進した。ガンキリンのoverexpressionを介して制御されている遺伝子ネットワークを同定するため、expression-profileをDNA microarrayで行なった。ユビキチン/26Sプロテアソームの活性化をきたすガンキリンのin vivoでの標的蛋白を同定するため、proteomic-analysisを行なった。ガンキリンはNFkBp65Re1Aに結合し、その活性を抑制した。ガンキリンはesophageal-cancerで発現が亢進し、その発現量は予後に相関した。食道癌細胞株でgrowth、 cell-motility、 invasiveness、 tumour-formationを亢進させた。ガンキリンは早期肝癌でその発現がタンパクレベルで亢進していた。ガンキリンの下流にIGFBP-5があり、その発現量とも相関した。
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