研究課題/領域番号 |
18590739
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研究機関 | 長崎大学 |
研究代表者 |
中尾 一彦 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 准教授 (00264218)
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研究分担者 |
永山 雄二 長崎大学, 大学院・医歯薬学総合研究科, 教授 (30274632)
市川 辰樹 長崎大学, 医学部・歯学部附属病院, 助教 (80346949)
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キーワード | 制御性T細胞 / エフェクターT細胞 / 肝癌 / PC61 / サイクロフォスファミド / GITRL |
研究概要 |
【目的】制御性T細胞はエフェクターT細胞によるウイルス排除、移植片拒絶反応、癌免疫反応などを制御・抑制していることが明らかとなっている。我々は、制御性T細胞の量的・機能的抑制を行うことで、肝細胞癌に対する抗腫瘍免疫が増強されるか否かをマウス皮下移植肝癌モデルを用いて検討した。 【方法】C3H/HeNマウスに同系肝癌細胞株MH129、MH134を皮下接種し腫瘍を形成した。抗CD25抗体(PC61)は腫瘍接種前後に投与した。低用量サイクロフォスファミド(CTX)が制御性T細胞(CD4^+CD25^+T細胞)を選択的に除去することが確認されたため、皮下腫瘍モデルにおいてその抗腫瘍効果を検討した。さらにエフェクターT細胞増強の目的でGITRL発現アデノウイルスを作成し、in vitroで感染させた肝癌細胞をマウス皮下に接種するか、皮下腫瘍形成後に腫瘍内に注射しその効果を検討した。PC61とGITRL発現アデノウイルスの併用治療効果も検討した。非治療群のみであるが、皮下腫瘍増大に伴うCD4^+CD25^+T細胞数の推移を検討した。 【結果】PC61ないし低容量CTXを用いた制御性T細胞の除去による抗腫瘍効果はMH134に比してMH129において顕著であった。逆に、GITRL発現による抗腫瘍効果はMH129よりもMH134において明らかであった。PC61とGITRL発現アデノウイルスの併用療法はMH134細胞でのみ相加的な効果がみられた。非治療群の皮下腫瘍モデルにおけるCD4^+CD25^+T細胞数に経時的変化を認めなかった。 【考察】MH129とMH134における抗腫瘍効果の違いは、MH129とMH134による制御性T細胞とエフェクターT細胞の誘導能の相対的な違いによるものと考えられた。このことは各々の腫瘍が持つ免疫回避の特性に合わせた腫瘍免疫療法が必要であることを示唆している。
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